2018未来デザインネクスト プレゼン講評会終了!
未来デザインネクスト2018未来デザインネクスト
プレゼン講評会終了
(レポート) 田所恵介 (本校教員・デザイン思考、コミュニケーション論、コピーライティングなどが専門)
多摩美術大学美術学部講師であり、映像作家でもあるデザイナー・菅 俊一氏を迎えて行われた今年の「未来デザインネクスト」課題発表プレゼンテーションが、10月19日(金)、当校にて開催された。この特別カリキュラムは、今年6月22日に行われたデザイン・シンポジウムの第2弾として、学生が、ゲスト講師である菅先生の課題にひと夏をかけて取り組んできた。FDSからは学年混合の3チーム、そして、本年は学外からも、実験的に、課題連携の取り組みとして福岡大学商学部・森田ゼミチームも参加。合計4チームがそれぞれの企画・アイデアをプレゼンテーションに臨んだ。
課題は、「無意識の行為を設計する」
今年の課題は「観察」がテーマであった。課題制作が中心の学生にとって正直難しかったというのが本音であろう。アイディアの創出や造形に至るその前の段階、日常生活の中で何に気づけるのか、また、その気づきから、自ら問いを立てることができるか、その問いに対して、ある種、普遍的な言葉でコンセプトを抽象化し、デザインに落とし込んいく。また、その実装や実験を通して、観察で得られた問いが立証できたかどうか、までを一連のデザインとして評価しようというものだったからだ。
学生4チームの具体的な提案内容は割愛するが、講評会での評価基準は、提案された内容で、ほんとうに人間が行動を促されるか、あるいは、立証できているかなど。従来にない検証型の講評会の議論が繰り広げられたことは、学生にとって、この場が、デザインを考えるということは一体どういうことなのかという、新しい起点になったことは間違いない。
今後デザインは、認知科学や心理学、社会学の分野に及ぶ。「観察」は、人間が人間を対象として、アプローチできる最先端の科学的デザイン手法である。パターン認識を基本とするAIやデータ解析には決してできない、マーケティング手法であり、その発端は、文化人類学のフィールドワークとして知られるエスノグラフィである。(エスノグラフィ(Ethnography)は,フィールドで生起する現象を記述しモデル化する手法。文化人類学における未開の民族の調査に起源をもち,その後,社会学で逸脱集団や閉鎖集団の生活様式を明らかにする方法として用いられるようになった。wikipedia引用)今回の課題「無意識の行為を設計する」は、そのエスノグラフィ の応用とまでは言わないが、ある意味、その入門編のような課題であったかと思う。
人と人の関係、人とモノの関係、人と社会の関係といった、関係を考え、関係をリフレーミングしてデザインする。
いま流行の言い方をすれば、エクスペリエンスド・デザインやUXデザインということだが、言葉の定義は別としても、新しい時代の新しい領域のデザインに、学生たちが果敢にチャレンジしていってもらいたいと願う。
今回特別講義をしてくださった、多摩美術大学美術学部統合デザイン学科・菅 俊一先生、講評をいただいた(株)意と匠研究所・下川一哉先生、(株)環境デザイン機構・佐藤俊郎先生に御礼を申し上げます。