お待たせしました。結果発表です!
今回は、全8校21作品の出展をいただきました。
今年も、昨年に負けず劣らず、見応えのある力作、快作が揃い、
ギャラリーを賑わせました。
学校の伝統を受け継ぐモチーフ、自由で斬新なモチーフなど、
それぞれの学校が、創意と工夫を凝らして競いました。
作品を見ているだけで、各校の体育祭の活況が目に浮かんできました。
見事入賞されたみなさん、おめでとうございます!
九州産業大学付属
九州高等学校
[黄ブロック]
- 総合点
- 71/80pt
審査員からの講評
- 山月記や名人伝は、美術を志す若者が必ずと言っていいほど聞かされる話ですが、虎が物語通り情緒的によく表現されています。視点も虎と一緒に月を眺めるように設定されており見るものを引き込む力を持っています。色も黄色がよく抑えられており構成の邪魔をしていません。欲をいうとパースがもっとさりげなくかかっていたらと思うほどに左右がシンメトリックになりすぎている気がします。しかし、尾と虎の顔と月がいい感じの流れで表現され、ダイナミックさを感じさせます。色の抑え気味の配色が絶妙です。空気の流れを感じさせるタッチで山月記の臨場感が出ています。主役の虎も骨格的な構造がわかり重心がわかります。惜しいのは雲の表現が洋式的になりすぎて麻亜里の自然さと今ひとつ噛み合っていないかも。月の模様ももう少しだけ抑えられたら、スケール感や距離感が出た気がします。それにしても、物語性や空気感をよく表現したいい作品です。(伊場)
- 月に向かって吠えるかのような虎の後ろ姿を、見上げる斬新な構図が素晴らしいです。今までにない構成力に脱帽です。パースの取り方や虎の表情、毛並みの書き込み、背景の描写など非の打ち所がありません。素晴らしいの一言です。(武永)
- 体育祭のバックボードという性格上、どうしても前に前にアピールする表現が多い中で、月に向かって背を向けた虎という物語の挿絵のような構図を、魚眼レンズを通してみているかのような空間の広がりの中に表現しているところがとても面白いと感心しました。「山月記」という背景や文脈をしっかりと捉え、虎になった主人公が月に向かって咆哮している姿を描くことで、切磋琢磨をしてこなかった主人公の無念さが切なく表現されているように思いました。逆に、「この体育祭では切磋琢磨して団結することでそのような悔いを残さない」、という黄ブロックの決意表明のようなものを感じています。ボードにストーリが感じられ、個人的にはすごく好きな一枚です。(佐野)
- 手前に迫ってくるような作品が多い中、夜空に浮かぶ月に視線を誘導する画面構成がとても面白く、夜の静けさと虎の荒々しさが共存する魅力的な作品になっている。虎の尾の毛並みや、月明かりに照らされた逆光の雰囲気がよく表現できている。(荒木)
製作者コメント
ブロックテーマである『餓虎(がこ)』を表現するため、山月記をモチーフにバックボードを制作しました。虎になってしまった主人公が自分の夢を諦めたくない気持ちを私たちの勝利を渇望する姿勢に重ねて表現しました。
福岡県立福岡中央高等学校
[白ブロック]
- 総合点
- 66/80pt
審査員からの講評
- 迫力満点の作品ですね。モチーフと書き文字を最大限大きくした構図に好感が持てます。周りの稲妻もいいアクセントになってますね。主従の関係(書き文字とライオン)がもう少しあったほうがより強い構成になったかもしれませんね。ライオンの猛々しさ、稲妻の走り具合など素晴らしいです。ここまでの技量と比較すると書き文字はもっとよくできるのでは?と欲が出てしまいます。書き文字のフォルムはOK。筆のかすれを加えることで力強さや勢いが増すと思います。(武永)
- ボード全体を通して色遣いやタッチに迷いがなく、整然とした安定感がとても魅力的だと思います。白色系と黄色系の使い分け、それらの重なりやバランスがとても上手なので立体感もあり、とても完成度の高いボードだと思います。一見したところ、CGあるいは写真かと思わせるホワイトライオンの精密でリアルな表現に驚かされました。特に牙の超リアルな表現が特徴的で、何回見ても「写真貼り付けてる?」と思わずにはいられず、見飽きることがありません。(佐野)
- ホワイトライオンをモノクロで表現したことで、大きく開けた口や稲妻が強調され、少ない色数でエネルギーに満ちた画面作りに成功している。文字のレイアウトも、発光する雷のラインと絶妙なバランスが取れて一体感のある力強い作品になっている。ライオンの毛並みや稲妻の光をメインカラーの白で見事に描き分け、力強い文字に加え、さらに奥行きのある空間表現で見る者を引き込む力がある。(荒木)
製作者コメント
白ブロックのブロックテーマ「雷霆万鈞」に合わせて、ホワイトライオンと雷をモチーフに横断幕員全員で、これ以上ない作品を作り上げました。横断幕の部で優勝することができ、私の一生の宝物となった作品です。
エントリー校一覧
入賞校にはAmazonギフト券10,000円分を贈呈いたします。
さらに、ご応募いただいた高等学校様には、記念の印として、
応募作品をプリントしたメモリアル・ファイルケースを贈呈いたします。
(各校20枚限定)
- 福岡県立太宰府高等学校
- 九州産業大学付属九州高等学校
- 福岡県立柏陵高等学校
- 福岡県立八幡中央高等学校
- 鹿児島県立鹿屋工業高等学校
- 福岡県立福岡中央高等学校
- 佐賀県立有田工業高等学校
- 佐賀県立佐賀北高等学校
審査いただいた先生方
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EDUCATOR/ARTIST
伊場 芳朗いば よしろう
理事長/学校長
美術家。多摩美術大学、美術学部絵画科卒。
美術研究所画塾主任、九州産業大学非常勤講師等を経て、1996年福岡デザイン専門学校創立に参加。
2012年より現職。主に基礎造形、表現技法を中心に指導。個展や企画展参加を中心に作家活動。
NPO法人FUKUOKAデザインリーグ理事。日韓現代絵画協会会員。 -
EDUCATOR
荒木 光信あらき みつのぶ
教務部 副部長/専任教員
クリエイティブデザイン学科学科長
1999年東京藝術大学大学院美術研究科漆芸専攻修了、京都市工業試験場伝統産業技術者研修漆工専科修了、漆芸教室講師、個展・グループ展などの作家活動、重要文化財建造物保存修理の漆施行に従事、法政大学デザイン工学部システムデザイン学科特任教育技術員ほか。
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GRAPHIC DESIGNER
武永 茂久たけなが しげひさ
武永デザイン事務所 代表
1962年熊本生まれ。1985年愛知県立芸術大学美術学部デザイン専攻卒業。
片岡脩氏(東京)、平松聖悟氏(福岡)主宰の事務所を経て、1998年武永デザイン事務所設立。グラフィックを主体としたコミュニケーションデザインの立場から企業や店鋪、商品のブランディング、デザインプロデュースのほか、デザインを通しての地方創生、教育、啓発活動にも従事。
(公社)日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)本部運営委員(九州ブロック代表)/NPO・FUKUOKAデザインリーグ 理事長/福岡県産業デザイン協議会 企画専門委員(06〜09副会長)/
(社)福岡デザインアクション(FUDA)理事/福岡デザイン専門学校 主任講師/大阪芸術大学 非常勤講師
賞歴:ラハチポスタービエンナーレ・韓国インターナショナルポスタービエンナーレ・東京ADC賞・k-adc・JR東日本ポスターグランプリ・九州グラフィックデザイン展・福岡広告会賞等、入賞、入選など。 -
ARCHITECT
佐野 正樹さの まさき
一級建築士
1967年福岡県生まれ。九州芸術工科大学芸術工学部工業設計学科卒業、同大学芸術工学研究科生活環境専攻修了。
(株)乃村工藝社、ベルラーヘ・インスティチュート・アムステルダム、(株)山本理顕設計工場を経て、2003年AL architects設立。戸建住宅やケアハウスなどの建築設計に携わる。
近畿大学産業理工学部建築デザイン科非常勤講師、福岡デザイン専門学校総合デザイン科非常勤講師
賞歴:第18回福岡県美しいまちづくり建築賞住宅の部大賞など。
審査員からの講評
製作者コメント
テーマ『鬼に金棒』を生徒達が金棒のような存在となり鬼と団結している様子で表現しました。特に鬼の表情や体の動きなどリアルさを追求しました。生徒と鬼が共に戦う熱気や臨場感に注目してご覧ください!